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一粒の涙が瞳からこぼれ落ちると、
圭さんはそれにすぐに気づいて、
親指で拭った。
「どうしたの?」
「いえ。」
俺の笑顔をみて安心したように
「そう?ならいいけど。」
と言い、続けて
「そろそろ寝ようか。」
と俺の頭を撫でた。
「はい。寝ましょう。
おやすみなさい。」
「うん、おやすみ。」
そうして、
一枚の布団一緒に被り
肌をくっつけ合って
目をつぶる。
圭さんはごく自然に自分の腕を俺の背中に回して
眠りを誘うようさすった。
温かくて、心地よい。
きっと、明日も
俺は世界で一番幸せだ。
【完】
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