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プロローグ
───暗い室内。ベッドには横になる少女が一人。
夜。とは言え、星星の輝く夜空に、未だ控えめば明かりを灯す建
物等など。夜には夜の明かりと言う物が存在している。夜の帳が
落ちて尚、いや落ちたからこそ、そう言った僅かな明かりも闇と
解け合えるのだろう。
暗くとも、恐怖が満ちる暗黒ではない世界。そんな世界で、暗闇
に意識を溶かす者が一人。
「……」
それは少女だった。かの少女は自らの部屋に来てベッドへと横に
なり、かれこれ三時間は過ぎただろうか。当然静かな寝息を上げ
ている───
「……」
なんて事は全く無く。瞳を開き部屋へ満ちる暗闇を見詰めてい
た。
「……」
動きは規則正しい呼吸と瞬きだけ。もし遠目からこの部屋を覗い
た者がいれば、置きているとは気が付けない程に。見た目だけは
眠っている。しかし。
「……~~~~ッ!」
時折少女は無表情を喜びから羞恥など、“くしゃくしゃ”と歪ま
せたかと思えば、顔を手で覆い身を捩っている。不可解で、不思
議な行動。
暫く発作のような物に身を動かしていた少女も。
「~~~……」
動きは徐々に静まって行く。そして。
「うぅ……」
少女は顔に手を乗せたま呻き。三時間近くしてきた事を、また続
けていく。
彼女の頭の中で夜ではなく此処でもない、今でなく未来でもな
い。鮮明な何時かと何処かが繰り返されている事は、誰にも分か
らない。
「……」
ただ静寂の中に身を置き。眠れずに何かを患うのみ───
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