どうかしている文芸部

15/17
前へ
/25ページ
次へ
「ところでこうして呼び出したのは部の話なんだけど、活動は順調?」 「なんとかというかんじです。やっと本の整理も終わって環境が整ったというところで」 「だよね。まだできて半年もないんだし。でも順調ならなにより」 できて間もない部。だからか生徒会も気を配っているようだ。しかし半年だからとくに何もできていない。 「文芸部せっかく作ったんだから新入生が入ってほしいなー、でも部費はあまり出せないなー、というのが生徒会の本音なのね」 「ですよね。文芸部って、不良のたまり場にするよりはましと作られたそうだから」 「そう。特例で文芸部にしたのよ。たまり場になると学校的にまずいから、文芸部に使ってもらおうって。人数足りないところ、生徒会の人間とかを幽霊部員にしてね」 「その説は本当にありがとうございます」 千歳は深々と頭を下げた。 文芸部は大昔に部員が減りなくなってしまった。その部室をいつの間にか不良が占領し、最近になって賭博など行っていたことが発覚。それならばと、部員は足りないが部を作りたがっていた桂達を文芸部として復活させる事にしたのだった。 「っと、恩着せたいわけじゃなかった。そのことでちょっと話があってね」 「はい?」 少しだけ穏やかな気持ちで紅茶を飲む。その際に生徒会長は机の引き出しからがさごそと何かを取り出した。画像をプリントアウトしたものだ。 「これ、夏前かな。生徒会室に届けられた写真なの。例のたまり場にしていた不良が部室内でどんちゃん騒ぎしている写真ね」 千歳はその写真を見て、丸い目を大きく見開いた。文芸部の本棚を背景に、男子生徒が寝そべり酒の缶や菓子を広げている。よく見ればタバコのようなものも見える。 「この写真と音声データが生徒会と職員室と、あとPTAに届けられていたらしいの。で、この不良達はめでたく停学や謹慎処分になったわけ。でもこんな用意周到に不良達を陥れることをしたのは誰か、皆気にしたり気にしなかったりしてね」 「はぁ……」 「まぁ不良達もうちの学校にしては素行の悪い連中だから、恨んでる奴はいっぱいいるだろうし、報復を恐れて密告してくれたんだろうから探るのはよくない。それで、本題はここから」 「まだ本題じゃなかったんですか」
/25ページ

最初のコメントを投稿しよう!

17人が本棚に入れています
本棚に追加