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「ナズ君はどこかに投稿したりしないの?」
「僕はまだ十六歳で、それなのに十八禁を書くのはよくないんじゃないかな。あと生身の人間をネタにしてるから身バレが怖い」
「真面目だ。まぁ、確かに文芸部の活動にするわけにもいかないけど、私以外の人も読めるようにしたほうがいいと思うな。上達のためにもさ」
現在文芸部で書くのは千歳だけ、ということになっている。千歳も本来読む専門だったが、誰も書かないため文芸部の目に見える活動として書いて、それで才能を発揮しているのだ。
正直千歳に負担をかけているが、そこになずなが官能小説で助けるわけにはいかない。この官能小説の活動はあくまでなずな個人が行い、桂だけが楽しむものだ。なずなも上達は望むが、まずは桂だけにみてもらいたい。
「僕の『あら✕ちと』はリアリティを求めて書いているから。桂さんからの感想が一番参考になると思う。今回のも何か嵐と千歳さんらしからぬ描写とかない?」
嵐とは双子で千歳とは親友という桂にしかわからないもの。なずなには彼女の意見さえあればいい。そう言われれば、桂に思い当たる事がある。
「ええと、小説の嵐が千歳に足を開かせるシーンなんだけどね、めちゃくちゃキツそうに見えるの。でもリアル千歳、バレエ経験者だから体めちゃくちゃ柔らかいよ」
「なるほど……もっとなめらかに開かせればいいのか」
「あと、嵐は小説で赤のパンツはいてるけどさ、リアル嵐ってパンツは青系統って決めてるよ」
「そうか、パンツは青、と」
これはプライバシー侵害にあたるのではないだろうか、と非常識な方である桂でさえ思う。しかしなずなは一生懸命にメモを取っている。『ちと→簡単に股開く』『あら→パンツは青』と。とんでもない内容であることに桂は罪悪感を抱く。
「私、なんだかとんでもない悪事を働いているような気がしてきた……」
「千歳さんの下着の色とかスリーサイズは答えていないんだからいいんじゃない? 別にそこは求めてないけど」
「そりゃあね。ナズ君の事は信用してるけどそこまで教えるのはまずいと思っているからね。いくらエロエロ言ってても私、千歳という友達はなくしたくないのよ」
「桂さん、女の子の友達が他にいないもんね。そのわりには千歳さんにエロ書けとかセクハラしてたけど」
「千歳はそれくらいは引かないのはわかってるんだよ。ていうか千歳はどんな下ネタも引かないし」
「千歳さんって桂さんの下ネタに引かないの? 僕でさえたまに引くくらいなのに」
そういう意味でなずなは驚く。桂にとって千歳は唯一の同性の友人と言っていい。だから桂は着替えなどで見た身体情報などは伏せている。下ネタもあれでいて控えているようだ。
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