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時は1821年。フランス。
熱帯魚と呼ばれる俺は、優雅な家の象徴となっていた。俺や仲間達が暮らす家は、それなりの余裕がないと飼うことができなかったからだ。
俺は、そんな象徴として、余生を過ごしていけるものだと思っていた。しかし、そうは甘くなかった。
飼い主であるお嬢様は、いつも俺の目の前の椅子に座る。いつもそこから、微笑ましい目で、俺を見ていた。
ただし、今は視線がこちらに向いていない。最近では、目下ばかりだ。
シャム猫。彼はそういう生き物らしい。彼が我が家にやって来た時、お嬢様がそう言っていた。
彼は、いつもお嬢様の膝の上に座る。優しく撫でられ、気持ち良さそうに目を細めている。
俺は、そんなシャム猫が嫌いだ。彼ばかりが可愛がられて、今ではお嬢様が、俺に見向きもしないから。
所詮俺は、この家のお飾り。今では、そう思えて仕方なかった。お手伝いさんが、辛うじて餌を与えてくれるが、他の連中は餌をくれない。むしろ、俺に無関心だ。お手伝いさんがいなかったら、俺は今頃、生きていないかもしれない。唯一の味方は、お手伝いさんだけ。そう認識している。
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