3 そんなに良かったんですか?

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「入ってくれる? やったー!!」 「みかるちゃん、最高!」 「とてもうれしいです」  モニ先輩、セラ先輩、テツ先輩があたしの返事を喜んでくれた。 「それじゃ、みかるんには、ベースを弾いてもらうよ」 「はっ……!」  モニ先輩に言われて気づいた。  そっか、入部するということは、あたしも楽器を弾かなきゃいけないのか。  うえええ、あたしに演奏なんてできるかな。  音楽の経験は、学校の授業を除けばほとんどない。  それに、ベースっていう楽器のことをよく知らないし。  なんとなく、ギターみたいな楽器ってことはわかるけど、具体的にどんな音が出るのかとか、どうやって弾くのかとかさっぱり。 「みかるんは、ベース弾いたことある?」 「いえ、ありません……」  体から空気が抜けるのを感じながら、モニ先輩の質問に答える。  すると、 「それでは、浅野くんに教えてもらうのがいいでしょう」  テツ先輩が、さわやかスマイルをあたしに向けた。  ちょっ、浅野くんに? 「え、おれっすか?」   ギターに目を落としていた浅野くんが、苦い顔でテツ先輩を見る。  初めて、浅野くんとおんなじ気持ちを共有した気がする。「イヤだ」って。    そんなあたしたちの心境を知ってか知らずか、テツ先輩の顔はやはり晴れ模様だ。 「ええ、弦楽器同士、通じるところも多いはずです」
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