1 天才の手!?

2/5
50人が本棚に入れています
本棚に追加
/142ページ
「えー! そんなのズルいよ! 舞ちゃん!」  お昼の休み時間が始まって十分後の教室、あたしは思わず、バンっと机を叩いて立ち上がっていた。     入学式から数えて三日目。  同じ小学校出身の親友・光橋舞(みつはしまい)ちゃんと同じクラスになれて、他のクラスメートとも少しずつ仲良くなってきて。  華の中学校生活、順調に行きそうだったのに。  まさか、こんなことが起きちゃうなんて。 「ズルいって、なにが?」  丸メガネの奥で、舞ちゃんの瞳がきょとんとしている。  いつも通りきれいにまっすぐ下ろされたセミロングの黒髪は、まるであたしに「落ち着きなさい」って諭しているかのように見える。こんな状況で落ち着いてられるかっつーの! 「『なにが?』じゃなくてさ!」  小四の秋から、舞ちゃんとあたしは、いろんな意味でずっと一緒だった。使ってるペンも消しゴムも筆箱もお揃い。児童館のバレーボールクラブにも、同じ日に入部したよね。  それなのに、 「どうしてあたしより先に彼氏作っちゃったの? 舞ちゃんとあたしはなんでもお揃いなんだから、初めての彼氏も同じ日に作らなきゃダメじゃない!」
/142ページ

最初のコメントを投稿しよう!