『ピョン吉』の村

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 ここまでの間に、読者は疑問に思われているだろう。住民は年がら年中Tシャツなのかと。思われていない方にも説明だけはさせてほしい。    はっきり言ってそうである。  年がら年中Tシャツである。  なかには肌着でごまかす人も多い。  この村は農耕を主産業とし、場所は九州の南端に位置し、その地理地形上、常夏を思わせる気候の土地なので、僻地ではあるがいつも温暖なのである。  そして、梅雨の時期には『ピョン吉』スタイルが激増する。カエルの活動が活発になる時期だからだ。今までカエルの捕獲に失敗していた人たちも、ここぞとばかりに沢山取る。    この梅雨の時期はなによりもアマガエルが急増することにより、干しアマガエルを吊るす人も急増する。ただ、やはり1番人気はトノサマガエルだ。干すと体躯自身が広がり、大きさが『ピョン吉』として丁度良くなる。
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