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ムネトはコソ泥でした。
物語の世界だとカッコイイ怪盗や気の毒な人たちを救う大泥棒が活躍しますが、ムネトはそんなのと違って、子どもからキャンディーを取り上げたり、犬の餌の肉を横取りしたり、つまらない悪事ばかり働いていました。
今日も町のお巡りさんにお説教をくらっています。
「ムネト。おまえいつまでバカなことばかりやってるんだ? おれはおまえの亡くなったおっかさんから、『どうか息子の親代わりになってやってくれ。父親がわからないあいつを父親だと思って叱りつけてやってくれ』って、息を引き取る間際まで頼まれたんだぞ」
「ちっ。おふくろはもう死んじまって、いないんだからもういいじゃないですか。あんただって暇じゃないんでしょ?」
「おまえがそんな態度なら、牢屋で一晩頭を冷やしてもらおうか。無銭飲食は立派な犯罪だからな」
「そんなんで済むなら……いえ、何もありませんよ。いや、牢屋とはつらいな。あはは」
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