シャーペンと君。

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「ねぇ、藤沢さんって本当は、頭いいでしょ?」 「…………え?」  由香の目の焦点が、はっきりと涼太に定まる。 「もし、自分に意味が欲しいのなら、意味をあげる」  涼太は、強く、はっきりと言い切った。 「俺に、勉強を、教えること。それが藤沢さんの意味だ」  由香は目を見開いた。 「……それ、普通は私に『お願いします』って言うやつよね?」  由香は柵にシャーペンを置いた。 「あ、あははっ」 「でも、うん。いい。出来そう」 「本当?」  由香は、髪を耳にかけながら、さりげなく柔らかい微笑みを浮かべた。 「勉強、教えてあげる。私で、いいのなら」 「もちろん」
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