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無事に打ち合わせが終わり、高城さんとはラウンジで別れた。
その後、地河部長は再び腹痛が襲ってきたようで、近くのトイレへ駆け込んで行った。
そのため俺は一人、エントランスホールをぶらっとしながら部長の戻りを待っているとーー
「水樹さんっ」
えーー。
名前を呼ばれて振り向くと、そこには俺に駆け寄る高城さんの姿があった。
「た、高城さん、どうかしましたか?」
何か忘れ物でもしただろうかと不安になっていると、高城さんは俺の目をじっと見つめながらゆっくりと口を開く。
「呼び止めてすみません。今後また会える確証が無かったので、どうしても声を掛けておきたくて」
「え?」
「これーー僕のメッセージアプリのIDです。良かったら連絡ください。僕ーーもっと水樹さんと色々話したいなと思って」
高城さんはそう言って、IDが書かれた紙を俺に手渡した。
「は、はいっ」
俺もそれを即座に受け取る。
嬉しかったのだ。俺も高城さんともっと話しがしたいと思っていたから。
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