番外編 出会いの話

8/26

1136人が本棚に入れています
本棚に追加
/148ページ
その日の夜。 実家の自分の部屋のベッドの上で、俺は無駄に正座しながらスマホを握り締めていた。 連絡は、してみようと思った。 不意に告白されてしまったけれど、嫌だったわけではないし……俺も高城さんの事、もっと知りたいし……。 今すぐ付き合うとかではないけれど、少なくとも連絡はしてみたいと思ったのだ。 高城さんのIDが書かれた紙を見ながら、彼のIDを入力し、検索する。 そして表示された彼のIDを自分のリストに登録。 そして、続けてメッセージを打った。 散々悩んだものの、『こんばんは。今日はありがとうございました』という無難な……いや、もしかしたらそれ以上に素っ気なさすら感じる文章を送信した。 すると五分後、高城さんから返信が届いた。 『こんばんは。連絡ありがとうございます! 早速ですが、来週のどこか空いている日、仕事終わりに二人で飲みに行きませんか?』 そう書かれていたその文章に、胸がトクンと高鳴った。 『はい。ぜひ行きましょう』という返信を送った後、妙に気恥ずかしくなり、枕にボスッと顔を埋めた。 ……これからどうなるかさっぱり分からないけれど、飲みに行くのは楽しみ、だな……。
/148ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1136人が本棚に入れています
本棚に追加