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妊娠率は百パーセントの筈なのに……判定終了サインの線しか出ていない。つまり陰性。妊娠はしていないというサインだ。
不思議に思いながら一旦トイレから出ると、ちょうど侑が帰ってきた。
「あ。ゆん君、ただいま」
「お、お帰り、侑」
思わず、検査薬を後ろ手にパッと隠してしまった。
しかし、その瞬間はしっかり見られていたようで「あれ? 今、何か隠した?」と聞かれてしまう。
誤魔化せそうになかったので、俺は手に持っていたそれを侑に見せた。
「それ、もしかして妊娠検査薬?」
「う、うん。でも、もしかしたら不良品かも?」
「不良品?」
「使ってみたんだけど、陰性なんだ。百パーセント妊娠してる筈なのに」
俺がそう伝えると、侑も「陰性?」と首を傾げる。
「うん……あっ、でも絶対妊娠してるだろうから、今度の土曜日に病院行ってくるよ」
「そっか。心配だし、僕も一緒に行くよ」
「い、いや、一人で大丈夫!」
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