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駐車場に停めていた車に乗り込むと、何だかドッと疲れが押し寄せた。
初めての産夫人科、そして肛門からの内診。
妊娠しているかもという希望も打ち砕かれたし、一人で来院した心細さ等もあった。そんな色んな要因が重なり、体力を一気に消耗したのだと思う。
でも、先生と看護師さん達はとても優しく親切で、そこはとても安心した。
ひとまず、ゆっくりと車を発進させる。
マンションに向かって車を走らせながら、侑の精子の検査について再びぼんやりと考える。
大事な検査だっていうのは分かる。
だけど、何て言ってお願いすれば良いんだよ?
侑の精子に異常があるかもしれないから検査してくれって?……そんな事、言えねぇって。
「……あ。そうだ、昼飯買っていかなきゃ」
検査のことも重要だが、今日の昼飯のことも忘れる訳にはいかない。
侑は昼食を作って待ってると言ってくれていたけれど、最近仕事で帰りも遅く、少なからず疲れているだろうと思った。
なので、今日はゆっくり過ごしていてほしいなと思い、俺が帰りがけにスーパーで弁当を買っておくと話していたのだ。
マンションに帰る前に思い出して良かった。
俺はそのまま、目的のスーパーへと車を走らせた。
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