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ここは東京新宿、私立華良女子学園。 一般の女学生もいるが、中には良家の子女が多く通学している名門校である。 大都会のど真ん中新宿にある女学校ではあるが、その敷地面積は広く、緑麗しい木々がその校庭には生い茂り、広い校庭では絶えず健康的な汗が流される部活動が活発に行われていた。 その西洋のお城のような見目麗しい校舎の中では、可憐な女生徒たちが日々勉学に励み、まさに人も羨む名門女子学園であった。 だが、そんな名門校にも学校を裏側から仕切る組織が存在した。 表向き、学校を仕切っている生徒は、成績優秀な生徒会の面々であったが、それとは別に裏の支配者がこうした名門校にも存在するのである。 その裏の支配者グループを紅竜会といった。 紅竜会は学園全体を仕切る暴力的な、今時珍しいスケバングループを名乗る組織であり、学園中の女生徒から教師に至るまで、日々恐れられていた。 時には学校同士の喧嘩抗争に至る場合もあり、相当に激しい殴り合いのバトルが繰り広げられることもあった。 そのトップをひた走るのが、"新宿遼子"の異名を取る女生徒、賀川遼子であった。 遼子は学園理事長・賀川太津朗のご令嬢で、教師たちすら頭の上がらない、特別な上級生徒であった。 その立場を欲しいままにして遼子は、この学園の中で成り上がり、押しも押されぬ紅竜会のトップに上り詰めていたのであった。 長身でパリコレモデル並みにスタイルが良く、その野性味あふれるエキゾチックな顔立ちの超美人な美貌は、通り過がりの男も女も振り向かせるほどの美しさであったが、それに反してその行いは、同世代の男子不良学生よりもさらに凶暴であり、一度火がついたら手がつけられない恐るべき女豹の如くの獰猛さであった。 その下には、遼子を"兄貴"と慕う子分のスケバンどもが存在し、こちらも日々同学園の女生徒たちを震え上がらせるほど素行の悪いやさぐれ女学生どもであった。 だが、ある日、そんな華良女子学園に、なんとも可憐な女学生が転校してきた。 その女学生は見た目はかなり派手であるが、アイドル並みのルックスを持ち、学園に現れるや否や、女生徒から教師に至るまでその目を釘付けにしてしまうほどのオーラを放っていた。 ここから、この女生徒、八並玲子が台風の目となり、私立華良女子学園には、凄ざまじい血まみれの風雲が巻き起こることになるのである。
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