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「いいかい、あたいに関わってると、ああいう危ない目に遇うんだ。もう、あたいに関わるんじゃないよ!」
八並玲子は、新宿遼子ら紅竜会に万引きに参加させられた山科百合子を学校に連れ戻す途中、そう百合子に告げた。
「でも…」
百合子は少し不満そうな顔でそう呟いた。
「でももヘチマもねえんだよ!あたいらのスケバン渡世には、カタギさんのお前は邪魔なんだよ」
玲子を厳しく百合子を睨みつけて、そう言った。
だが百合子は不満そうな表情を崩さず、いつしかポロポロと涙を流し始めた。
「泣くんじゃねーよ!」
「だって…」
「あたいなんかと関わってるから、泣くようなことになるんだ」
「違うわ…」
「何だ?!」
「…せっかくお友達になれたのに…関わるななんて、そんなの辛すぎる!」
百合子はそう言うと、周りも気にせず泣き始めた。
「ガキみてえにビービー泣くんじゃねーよ!」
玲子は珍しく周りの通行人の目を気にして、そう言って百合子をたしなめた。
「だって、友達になれたのに…」
「あたいなんかとダチになったってロクなことはねえって言ってんだよ」
「そんなこと…。やっと出来た友達なのに…」
「ダチなんて…」
玲子はそうすぐに百合子に反論しようとしたが、自分にも友達など一人もいないことに気がついて、それ以上、何も言えなくなった。
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