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それからすぐに学校をフケた新宿遼子以下紅竜会のメンバーは、青い顔をして気が進まない様子の山科百合子を引き連れ、すぐに駅前の薬局マツシマタカシに集合した。
マツシマタカシには薬の他、食べ物も売っているので、ちょうど正午前のこの時間には客も多く、レジ前は列を成していた。
「いい頃合いだな。てめえら、しっかり買い物(万引き)しろよ」
遼子は不敵な笑みを浮かべて、紅竜会の子分たちにそう命じた。
「はい、兄貴!」
メンバーの十字架の美樹、チョウパンの恵美子、ひまわりバンドのヨシちゃんは、一斉にそう声を上げた。
山科百合子は震えながら黙っていたが、
「おい!テメエ、兄貴シカトしてんじゃねーぞ!」
とひまわりバンドのヨシちゃんが胸倉を掴んで脅してきたので、百合子も怖々、
「は、はい!」
と囁いた。
すぐにチョウパンの恵美子が買い物に乗り出した。
コンシーラーのあるコーナーに行き、防犯カメラのある方角に背を向けて、手元が見えないようにしながら、恵美子はさっそくコンシーラーを買い物してきた。
「兄貴、コンシーラー一丁上がりです!」
恵美子は遼子に媚びへつらうような顔をして、買い物してきたコンシーラーを秘かに遼子に見せた。
「バカヤロー!そいつはスティックタイプじゃねーか!リキッドタイプを買い物してこい、この野郎!」
と遼子は恵美子を鬼のような目で睨みつけて小声で怒鳴りつけた。
「サーセン!でも兄貴、スティックタイプは、肌にしっかりフィットして、カバー力も高いっすよ。シミ、そばかすも指の軽いタッチでぼかせて、後からファンデーションをのせればバッチリっすよ」
「バカヤロー!リキッドタイプは肌になじみやすいんだよ!くすみや影のカバーに最適なんだ!乾燥しやすい目元や口元にもオススメだって言われてんだよ、この野郎!テメエ、そんなことも知らねえのか!このカス!」
遼子はさらに鬼の形相で、恵美子を怒鳴りつけた。
「サーセン!勉強させて戴きました!今度は間違いなくリキッドタイプを買い物してきます!押忍!」
恵美子は直立不動でそう謝った。
「リキッドタイプは気になるほうれい線もぼかしてふっくらとキレイに仕上がるんだ!よく覚えておけ!この野郎!」
「サーセン!押忍!」
恵美子はまた直立不動で謝まると、すぐにまた、コンシーラーのコーナーに買い物に向かった。
「よく見てろよ、百合子」
蒼ざめた表情の百合子の後ろで、急にヨシちゃんが、不気味にそう囁いた。
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