乙女ゲームの脇役に転生してしまいました

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「まだ私に付いてくるの?」 「それは令奈のことが心配だから」 やはりまだ令奈のことが心配で傍から離れられなかった。 ―――アンジェとエイダはいつも一緒にいる仲。 ―――だからずっと一緒にいて、怪しまれずにいられるのが唯一の救い・・・。 ―――でもこのままだったら本当に令奈が危険な目に遭ってしまう。 ―――信じてくれないし、一体どうしたらいいの? どうにかして令奈を助けたかった。 そして、助けられるとしたら自分しかいないと分かっていた。 ―――こうなったら、次に起こることを言って信じてもらうしかないか・・・。 とりあえず愛海の言うことを信じてもらうことが最優先。 未来予知のようなことをすれば信じるしかないだろう。 ―――えっと、確かこの後は・・・。 愛海は後ろを確認した。 遠くから二人めがけて走ってくる人を見つける。 「令奈。 あの人とぶつかると思うから気を付けて」 「え?」 忠告はしたが令奈はその人とぶつかってしまった。  「も、申し訳ございません! アンジェ様!!」 「いえ・・・。 大丈夫です」 あまりにも不注意な行動だと思うが、確かアプリだと二人はアンジェの熱心なファンだったはずだ。 悪役令嬢であったアンジェはその二人を許さなかったが、令奈ならこれで終わるだろう。  どうやらシナリオの多少の変更は可能らしい。 令奈は驚いた顔をして愛海を見ている。 「どうして分かったの?」 「令奈、次に大きな風が来るからスカートは抑えるようにね」 そう言った瞬間二人の間を大きな風が通った。 慌てて令奈はスカートを抑え付ける。 「・・・予言者?」 「どうしてそうなるのよ。 ちなみにこの後も誰かと衝突するから、私と立ち位置を代わろう」 「どうして起こることが分かるの?」 「さっきも言ったでしょ。 ここはアプリの物語の中。 私は物語をクリアしたから全て分かるの」 「・・・」 「どう? 信じてくれた?」 令奈は納得いかないような顔をして愛海に尋ねる。 「・・・一応聞くけど、私はこの後どうなって殺されるの?」 そう聞かれたため物語の結末を全て話した。 令奈は顔を真っ青にする。 「そんな・・・。 え、私がいじめているヒロインって一体誰?」 「分からない」 「え?」 その質問に即答するとキョトンとした顔をされた。 「どうして分からないの?」 「だってアプリでのヒロインって自分なんだもん。 自分目線で書かれているから、顔すらも分からないよ」 悩んだ後に令奈は言う。 「現に私は今、誰もいじめていないよね? エンドが変わることはないの?」 「今はいじめていないけど、これまででいじめていたのかもしれない。 そして、残念ながら悪役令嬢が助かるルートは、なかった・・・」 「そんな・・・」 「ごめん。 もしこのままいくと、どうなるのかは見当も付かない」 これからどうしようかと考えているとすれ違った人と愛海が衝突してしまった。 愛海は油断していて転んでしまう。 ―――私が被害者となるの、忘れてた・・・! 「ちょっと愛海、大丈・・・」 「大丈夫?」 令奈の言葉を遮り手を差し伸べてくれたのはベンジャミンだった。 ―――ベンジャミン王子・・・。 目の前の憧れていたベンジャミンに思わず手を伸ばしそうになるが思い止まった。 今はあまり物語の主要人物と接点を持ちたくない。 勿体ない気持ちはあるが自力で起き上がる。 「ベンジャミン王子、ごめんなさい!」 「え?」 愛海はこのままでは未来が変わることに恐怖心を憶え令奈の腕を掴んだ。 「逃げよう!」 二人は一緒に学園を抜け出すことになった。
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