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既知との遭遇
20xx年人類は恐れていた局面に陥っていた。
各国の首都上空には巨大な円盤がゆっくりと群をなして人々を見下ろしている。
それは日本でも例外ではない。
「きゃー!なにあれ!みて!みて!」
「スワロフスキー型かしら!」
「ミノフスキーじゃない?!」
「ミノフスキーは粒子です!!!」
「うーーーーんGUNDAM!!!」
人々は混乱していた。
そうこうしていると、一つの円盤から光が円筒形に降りて来て地上のスクランブル交差点に達したので皆驚いて逃げ惑ったが、その多くはビルの影に隠れながら遠巻きに見ていた。
円盤の中心から銀色の何かがゆっくりと降りて来たと思ったが途中から自由落下の速度に変わってドシャっと地面に落ちた。
銀色のそれはひとしきり上を睨んだあと、バツの悪そうに体の汚れを払った。
「よっ!」
そう言って手を挙げた宇宙人らしき者に誰も声をかけられないでいると、遠くから車が近寄って来て中からミスター都市伝説と言われた男が現れた。
「よっ!」
また宇宙人はそう繰り返した。
ミスター都市伝説は満面の笑みを浮かべて叫んだ。
「時は来た!」
そして恍惚の表情を浮かべて膝まづいた。
「え?なんの?」
銀色の男ははじめて「よっ!」以外の言葉を発したことで日本語が話せるのではないかと周りがざわめきだした。
しかし肩透かしを喰らった形のミスター都市伝説は咳払いを一つして立ち上がると両手を広げた。
「ようこそ我々の地球へ」
「え?君地球代表なの?」
「あ、いえ……」
「ま、まぁいいけど、便宜上君が代表って事にするから」
「は、はい!お願いします!」
ミスター都市伝説は学生の様にそう叫んだ。
「あのーだいたい君たちの文明などは把握してるから、とりあえずヨロシコ!」
そう言って手を差し伸べて来た。
周りの人びとのざわめきはやや遅れて歓声へと変わっていった。
よくわからない。
よくわからないがとりあえず友好的な宇宙人らしいとわかってホッとしたのだろう。
「フッ、計画通り」
その時、宇宙人が内心こう考えてるとは誰も知らないのだった。
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