12人が本棚に入れています
本棚に追加
ホームランと手術
とある病室に少年とその母親が居た。
そこへ野球のユニホームを着た男が入って来た。
男「やぁ、どうも!」
ケンジ「……どうも」
ケンジの母親も無言で会釈した。
男「ケンジくん、なかなか手術する勇気が出ないんだって?」
ケンジ「はぁ……まぁ」
男「わかった!今度の試合で僕がホームランを打てたら、君も勇気をだして手術受けて見ないか?」
ケンジ「……なぜ?」
男「……いや、なぜ?とかじゃなくてそういうものだろ?」
ケンジ「……なにがそういうものなの?アンタのホームランになんで僕の命賭けなきゃいけないの?なに?金持ちの遊びなの?」
男「え?……いや、そういうわけじゃないけどケンジくん…」
ケンジ「…なに?」
男「僕が大谷翔平でも同じ事が言えるかい?」
ケンジ「……なんかスリムクラブの真栄田に『俺が松本人志でも同じ事が言えるか?』とか言ったガレッジセールのゴリと同じ発想だよね?」
男「え?そうなん?お笑い詳しいね」
ケンジ「だったら逆にもし僕が大谷翔平だったらそういう態度でいいわけ?」
男「君は……大谷翔平じゃないじゃん」
ケンジ「おまえもな!」
男「いや、同じじゃないけど、同じジャンルというか……」
ケンジ「同じ哺乳類って意味か?なら僕も入るだろ?」
男「いやいや、そりゃ広げすぎだって」
ケンジ「あのね……わかってないようだから言うけど、そうやって人に差別は良くないみたいな話をしておいて、しっかりと相手は見下している所が論理破綻してるんだよ」
男「ろ、ろんり、、、とにかく、今度の試合でホームラン打つから!」
ケンジ「……ご自由にどうぞ」
男は部屋を出て行った。
ケンジの母「それにしてもあんな名前の球団あったかしら?」
ケンジ「ないよ、Doctorsって言うのはここの先生達がやってる草野球チームだよ、服装が違ったから別人に見えたんでしょ?」
ケンジの母「あらやだ……病院変えなくちゃ」
最初のコメントを投稿しよう!