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(ここに私の1両がある、それを加えて4両。2両ずつ分け合えば良い。3両拾ったのに2両しかもらえず、3両落としたのに2両しか帰って来ず、私は1両が無くなった。これで2人も私も等しく1両を損する、…これで良いかな?) それぞれが1両を失くした結果、"それぞれを立てる"解決をした越前守に2人はいたく感動した。"3両を譲り合う"結果、お互いが2両を譲り合い"平等に"痛み分けとなった裁定は後に"三方一両損"と言われている。 「こんにちは、ぶぎょうねこです。」 このまま譲り合いになるのであれば、お奉行に決めてもらおう!と思いつつも奉行所へ仲良くやって来た吉五郎と金太郎であるが、やって来るだろう大岡越前守の代わりに出てきたのは、奉行の姿をした猫の絡繰であった。 「越前守様は…」 「おねつをだしてやすんでます」 "なんてこった"と吉五郎が呟いたのを、金太郎は見逃さない。"失礼だろ、奉行の恰好をしてるからにはちゃんと奉行なんだろうに"と、小突いて姿勢を正させた。 「あなたたちは、なにがあってきたのですか?」 「じゃあ、俺から説明します」 "ぷでぃんぐ"を3つ貰った吉五郎であるが、茶屋の椅子にそれを置き忘れてしまった。気づいたも"まあいいか"と思いそのまま行ってしまったのであるが、偶然にもその"ぷでぃんぐ"を発見したのは以前にも吉五郎が落とした3両を拾い上げた金太郎であった。 3両の時には、"無くしたモノを欲しいとは思わない"吉五郎と"拾ったモノを持ち主が分かっているのに返さない訳にはいかない"金太郎との譲り合いになったために大岡越前守に助けを求めた訳であるが、今回も似たような状況になる事が考えられたため、今回も奉行所に行く事にしたのである。 …という話を、聞いているのか聞いていないのか分からない様子でぶぎょうねこは聞いていた。 「ねこはぶぎょうねこです。なっとくのいくお話をします。」 ぶぎょうねこは、金太郎を向き質問を始める。 「ぷでぃんぐを、かえそうとしたのですね?」 「そりゃあそうだ、吉五郎が落としたと分かってるのに、ネコババなんてできるか。」 「ねこばばはどろぼうですね。もちぬしにかえすことはまちがっていません。」 そして、吉五郎を向き質問を始める。 「おとしたぷでぃんぐを、うけとらないのですか?」 「諦めたモンを、また拾おうとは思えねえな。」 よく分からないが、江戸っ子とはそういう者なのだろう。"さて、ふたりのおはなしはわかりました"と 「お奉行様、その事で提案があるんだよ。」 「はい、なんでしょう?」 「この"ぷでぃんぐ"は1つ、お奉行様が受け取ってくれ」 吉五郎による突然の提案に、驚いた様子をしたように見えたぶぎょうねこであった。 「ねこはぶぎょうねこです。そういうのは"とりたてねこ"のしごとです。」 "ですが、ねこはぶぎょうねこです。はなしをききましょう。"と、落ち着き払った様子でぶぎょうねこは質問を重ねる。 「ここに"ぷでぃんぐ"が3つあるだろう?俺と金太郎とお奉行様で1つずつ分ければ、それぞれが1個分ずつ得する。…なに、俺も元から人に貰ってきた"ぷでぃんぐ"だから、元々は無かったようなモンだ。」 「ですがねこはぶぎょうねこです。ものをもらうねこではありません。」 「お奉行様も中々の江戸っ子じゃねえか?…だがな、俺達も江戸っ子だ。自分の意見は曲げられねえ。」 「そういうこった。」 と言い、吉五郎と見合わせたように金太郎はぶぎょうねこの着ている袴に、持っていた手ぬぐいごと括りつけ"無理矢理に"ぷでぃんぐを渡した。 「よし、これで解決だ!」 解決になっているのかどうかはぶぎょうねこには分からなかったが、とりあえず話は終わった訳である。
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