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「あのさ、食べにくいんですけど」 「しょうがないじゃん。おれだって一緒に食いたいけど、幽霊はなにも食えないし」  おまけに眠らなくてもいいそうだ。 「お風呂入ってくる」 「あ、じゃあ、あれ見せて」  昨日、わたしがお風呂に入っている間、スマホの動画を見せてあげた。  希海はめちゃくちゃ喜んで、そのまま朝まで、動画鑑賞を楽しんでいた。  本当はゲームもやりたいらしいけど、手で触れられないからそれは無理だ。  今日も希海は動画を見ながら、けらけら笑っている。  いい気なもんだ。  お風呂から上がったわたしは、そんな希海を横目にひとりベッドに入る。  すると動画に飽きたのか、希海が無理やり布団にもぐりこんできた。 「ちょっ、あんたは寝なくてもいいんでしょ!」 「いいじゃん。おれにも人間らしいことさせてよ」 「てか、人間じゃないし」 「いや、心は人間だから」  横を向いたわたしの背中に、希海がくっついてくる。  もちろん感覚はないけれど。 「絶対触んないでよ」 「だから触れないんだって」  布団のなかで騒いでいると、小さいころを思い出す。
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