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「ねぇ、そろそろ行きたいところ、行きつくしたんじゃないの?」 「まぁ、そうだなぁ」  その日もコンビニの弁当をつつきながら、わたしは聞いた。  希海がここに来て、もうすぐ二週間になる。 「あ、でもまだ一番大事なことしてないや」 「一番大事なこと?」  目の前で希海がにっと笑う。 「千歌ちゃんとでかけること」  わたしはさりげなく希海から視線をそらす。 「土曜日は一緒にどっか行こうよ」 「無理」 「すぐ近くで桜咲いてたよ。おれ、千歌ちゃんと桜が見たい」 「無理。いろいろやることあるの。わたしあんたみたいに暇じゃないんだから」  希海がむすっとふくれる。 「千歌ちゃんさ、おれが来てから、全然笑わないよな?」  笑えるはずない。 「おれたちせっかく会えたんだからさ。もっと楽しも……」 「希海は」  わたしは希海の言葉をさえぎった。 「いつまでもここにいたらいけないんじゃないの? ちゃんと希海には希海の行くところがあるんじゃないの?」  わたしは弁当に入っていた唐揚げを口に入れる。  なぜかなんにも味がしない。
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