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「おれはべつにこのままでもいい。けっこう快適だし、幽霊生活」
オバケが怖くてめそめそ泣いていた希海が、オバケになっちゃうなんて、すごくへん。
「千歌ちゃんだって、おれがいなくなったら寂しいだろ?」
「べつに変わらないよ。幽霊なんか、いてもいなくても同じだもん」
わたしは食べ残した弁当に蓋をして、立ち上がる。
その瞬間、背中がふわっとあたたかかくなった。
後ろに希海のいる気配がする。
「……なに、してるの?」
「千歌を抱きしめてる」
胸のなかでなにかがはじけた。
まぶたの奥が熱くなって、わたしは希海の触れられない腕から逃げだす。
「ついてこないで! お風呂入るんだから!」
弁当をゴミ箱に突っ込み、バスルームのドアを閉める。
希海はなにも言わなかった。
わたしの心臓はドキドキと暴れまわっていて、どうにかなってしまいそうだった。
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