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「榎本さん。大丈夫?」 「え?」 「なんか顔色悪いよ?」  昼休み。食べたくもないパンを無理やりかじっていたら、同じ部署のイケメン社員、松浦さんに心配されてしまった。 「そうですか? そんなことないと思いますけど?」 「幼なじみの子が亡くなってから、もうすぐ四十九日でしょ?」  わたしはハッとパンを持つ手を止める。  松浦さんはイケメンな上に面倒見もよく、入社当時からわたしのことを気にかけてくれた。  わたしも松浦さんを信頼していて、仕事の悩みも、会社の愚痴も、なんでも話してきた。  だから幼なじみが事故で亡くなったことも、松浦さんにだけ、ちらっとしゃべったのだ。 「なかなか難しいかもしれないけど……一区切り、つくといいね」  わたしは食べかけのパンを見つめながらつぶやく。 「松浦さん……ひとは死んだあと、どうなっちゃうんですかね」 「うーん……」  松浦さんはわたしの話を決してバカにしたりしない。  どんなにおかしなことを話しても、ちゃんと真面目に考えて答えをくれる。
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