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一息ついて周りを見渡した。
いつの間にか雨が降り出し、夜景が霞んでいる。
宝石が雨に濡れてゆく。
すると、目の前にスキンヘッドに両腕入れ墨を施した見上げる程に体格の良い顎髭を生やした男が私の目の前にしゃがんだ。ほっそりとして妙に頬がこけたキツネ顔の男も、ニヤニヤと席の隣に座って来た。
「お姉さん日本人?観光?」
ナンパだ、と身構えた。
現地の人らしいイントネーションの日本語は片言だった。
「綺麗な黒髪じゃん、香港は初めて?」
キツネ顔の男が肩に垂らした髪を無遠慮に触ってきて鳥肌が立った時、男の身体が床に吹っ飛んだ。
一瞬何が起きたのかわからずにいたら、ぐいっとさっきみたいに腕を掴まれて立たされた。
さっき、バランスを崩した私を助けてくれた人だ、と認識した瞬間、強引に手を繋がれて引っ張られるように二階席へと連れて行かれた。
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