明日を忘れる君と未来を知ってる僕と

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明日を忘れる君と未来を知ってる僕と

君に、毎日同じように 『はじめまして、僕は、君の恋人の深谷透『ふかやとおる』です。今日は、新しい1日を、 楽しもうね。』 君は、キョトンとした顔をして 「はじめまして?私は、谷村香奈『たにむらかな』です。えーッと?あなたは、彼なんですか?ごめんなさい。全然覚えてなくて、あの 毎日、こんなやりとりをしてるんですか?」 そういって、香奈は、あちこちに、貼られているメモ書きを、見ながら、僕に、確認をとっている。 うん、だいたい、毎回同じ反応してるよ。 「えー!ごめんなさい。嫌な気持ちになりますよね?よそよそしくなってしまって、メモには、書いてるんだけど、なんかピンと来なくて」 僕は、気にしないでいいよ。と微笑んでみせる。 本当は、恋人なんかじゃない。 君が、交通事故の後遺症で、1日を忘れてしまう記憶障害を、患っていると聞いて、ずっと片想いのままでいた僕は、 『君の恋人」を、演じることにした。 本当の恋人とは、別れたばかりだといっていたのを、前に聞いたから、僕は、君に、嘘をついたんだ。 いつ、君が、思い出すのかもしれないのに 僕は、自分の為に、嘘つきになったんだ。
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