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天国からの手紙
「あ……そうだ」
裕貴は先程足元へ落ちたメモ用紙をポケットから取り出した。
2つ折りしたメモ用紙。
裕貴は何となく気になってそれを何気に開いてみる。
「これは……」
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小林裕貴様
これを裕貴が見る頃には僕は裕貴のそばに居ないかもしれません。
手術が成功しても治らないという事を黙っていてごめんなさい。
もしまだ奇跡的にこの世に居たとしたら、僕は"神様のくれた時間"を裕貴と共に過ごせてとても幸せです。
それでももし僕が将来裕貴より先に死んでしまっても決して僕の死に囚われないで下さい。
この先、別に好きな人が出来たらその人と幸せになって下さい。
自分の幸せの為に前を向いて僕の分まで生きて下さい。
裕貴の幸せを心から祈っています。
相田 海
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「海……」
メモ用紙の下にはあの海の傍にある温泉旅館の名前の印字が入っている。
「いつ……?いつこんなものを?」
裕貴は海の書いた手紙を見ながら涙を流した。
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この先、別に好きな人が出来たらその人と幸せになって下さい。
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「馬鹿だなぁ、アイツ。こんな手紙の中でも遠慮してやがる。海の事を考えるのが今の俺の"幸せ"だってのに……」
裕貴は花屋の前で車を停めると花を買い再び車に乗り込んだ。
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『あ……愛してる。愛してるんだ、裕貴』
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「俺もお前を愛してる……。これからも。この先もずっと……お前だけを愛してる」
裕貴は海の"天国からの手紙"を折り込むと首にかけたクロスのペンダントの中に大事そうにしまい込み、再び車を走らせる。
【アイツの前で言ってやろう。俺が行くまでそこで待っていろと。いつか俺がくたばる頃に迎えに来いと……】
そしてまた愛し合おうと……
裕貴はクロスのペンダントを片手で握りしめ、そのペンダントトップに口付けをして海の元に向かってゆっくりとアクセルを踏み込んだ。
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【神様のくれた時間(とき)】
END
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