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これで、手放しで喜んでいいわけじゃないのはわかっている。
それでも許可が下りて上機嫌になった。
「でも、俺の跡は継がせない」
しかし父は、すぐに私の気持ちをへし折ってくる。
「なんで!?」
「こんな借金だらけの工房、継いだところでしょうがないだろうが」
「……」
売り上げは右肩下がりで、経営が苦しいのは知っていた。
だから後継者として若い職人を雇えないのも。
「お前はお前のやりたいことをやれ。
そして経営者の苦しみを味わえ」
しっしっしっ、なんて意地悪く笑っている父は、それが本音……だとは思いたくない。
それから約二年。
会社勤めをしながら準備を整え、この春に私は自分の工房を開いた。
だから相手が誰であろうと結婚なんてまだまだ先の話だし、それにここを離れるわけにはいかない。
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