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その瞬間ロムの奥歯のあたりからギギギギギという油が足りない機械のような音を聞き、ロムの全身から悔しさと殺気を感じ、ロムのこめかみに今にも切れそうな血管を見た立日は、とっさに助け舟を出す。
「でもその後が怖いね。この前はネギだったのになんで急にねずみが出てきたの? しかも丸焼きって。」
一瞬でロムが復活した。リムが視線を泳がせながら何か言おうとするより先に口を開く。
「そいつは人の名前と文末が『ん』で終わる時以外ずっと食べ物の名前をつけてるから、料理名がもうネタ切れなんだよ。それで丸焼き&煮物シリーズにハマってて。この間なんか『フライパンの煮つけ』とか言ってたからな。」
まさかの裏事情に、立日はポカーンと口を開けて。
「え、それ食べ物じゃなくない……?」
四つの目から二つの視線を浴びたリムは、ぴくッと体をひきつらせて恐々と辺りを見回す。
昨日は数人の客で埋まっていた店内も、きょうは立日の他に誰も居ない。ということは当然、助け舟をくれる人間などあるはずもなく、仕方なくリムは「えーっとえーっトマト」と唸りながら、最終的に下のような結論を叩きだした。
「……お、お皿に乗ってるものはみんな食べ物なんだよもぎの丸焼き!」
「究極の理論でました。」
「禁断の言い訳でました。」
「言い訳じゃないもん!」
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