最後の桜

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湊は、幼い頃から、妖怪や幽霊が視える体質。 大きな被害を受けることはなかったが、視える体質故に、体調を崩しやすかった。 たまたま、今の神社に足を運んだ時に、桜花に出会った。そこで、話す時間が楽しくて、仕方なかった。 『そっかー、高校生か。ミナト、背伸びたもんね』 「まあね」 『はい。また、作ったよ』 「わあ!」 桜の押し花。栞にしてある。 しかも、3枚も。 桜花は、目を伏せる。 「寂しいね。もう、会えないんだね」 『うん。土地の開拓で取り壊されるんだって』 来年の春は、土地開拓で神社を取り壊し、林道も整備されて、木々も伐採される。 今年が、最後の桜だ。
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