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「え?桜花、なんで…」
『あのね、前に渡した押し花の栞。あれね、ここの桜の花を使ったんだよ。だから、まだ、消えないよ』
3枚の栞は、桜の花を残してくれた。
少しでも生きるために。
『ミナト、お願いがあるの』
「何?」
『来年の春まで、一緒に居させて。その栞持っているだけでいいの』
もう、会えないと思っていた。桜の季節しか会うことができないから。
「いいの?」
『うん。次に、住むところ決めたいから。それまで、貴方に取り憑かせてね。その代わり、悪い妖怪や幽霊が来ないようにしてあげるね』
「うん。ありがとう」
桜花は、湊に取り憑いた。
次の住処が決まるまで、少しでも長くいたいから。
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