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渉くんの家に入ろうとしたとき、ひとりの女性に声をかけられた。
「渉?あ~!やっと、彼女できたのね。やったじゃん!!」
ちょっとボーイッシュな感じの、でも可愛さも持ち合わせているその女性は、女の私から見ても魅力的だった。
「ん。美月は、信也さんとうまく行ってる?」
美月さんはその質問には答えず、私に言った。
「彼女さん、渉を大切にしてあげてね。すっごく優しくていいやつだから。3歳のときから一緒だったから、私が一番よく分かってる」
私が一番・・・のところにピキン、ときた。そして、そのときの渉くんの何とも言えない表情。ああ、そうか。渉くんは美月さんが好きなんだ。だから、私には、つきあっても手も触れないんだ。
「渉くんのこと、一番好きなのは、私ですから。行こ、渉くん」
そのときの美月さんの哀しそうな表情が忘れられない。あぁ、2人は好きあっている。なのに、お互い恋人と言える人を持っている。
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