22人が本棚に入れています
本棚に追加
/5ページ
それから、私は、努力した。可愛い服やメイク、英会話だって、仕事だって頑張って、渉くんに認めてもらおうとした。
でも・・・頑張っても、頑張っても、渉くんの言葉や態度に愛を感じることはなかった。渉くんは私の向こうに美月さんを見ているのだ。
私は、あの時と同じ言葉を渉くんにぶつけた。
「渉くん、美月さんが好きなんでしょう?」
「いいや。僕が好きなのは、美紀だけだ」
・・・と言って、2度目のキスをしようとする。
「やめて!愛のないキスなんて、されたくない」
私の言葉は、渉くんの心に響いたようだ。
「僕は・・・美紀が好きだよ?」
「うそつき!じゃあ、あの美月さんを見る目つきは何?」
「・・・」
「信也さんを紹介したんだって、美月さんの想いを試そうとしたんでしょう。で、2人がつきあって、淋しくなって私の告白を受け入れた」
「・・・」
私は、絶望的な気持ちになった。
「私もね、誰でもよかったの。ぱっと見、かっこいい人なら誰でも」
「うそだろ」
「うそじゃない。男なんて、アクセだと思ってる。私を飾ってくれる、ね」
「そんなこと、思ってたのか」
渉くんはショックを隠せないようだった。
「別れよ。私、どうせだったら、もっと、キスとかハグとかしてくれる人がいい」
「・・・僕の愛情表現が足りなかったなら」
「もう、遅いわ。実は、もう、ちょっと好きな人がいるの」
「そっか・・・じゃ、仕方ないな。別れようか」
「さよなら」
最初のコメントを投稿しよう!