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第1章~告白~
懐かしい顔ばかりだった...
15年振りの同窓会。
どことなく面影は残っていた。
彼らだとわかる。
「久しぶり」
「久しぶりだな」
「久しぶり、変わらないな」
「久しぶりよね、みんな年とったね」
この内の誰とも結ばれることなく、別の人と結ばれた私。
今だからこうやって話せる...今だから..
「学校遅れるわよ!さっさと行きなさい!」
前髪が中々決まらない。
サイドのカールも決まらない。
(今日は最悪だ)
「わかったよー!」
(ドライヤー持っていっちゃえ)
カバンにドライヤーを突っ込む。
どうせ自転車に乗ってしまえば、ヘアースタイルなんか崩れるのに。
「おはようー!アサミ」
「おはよう~つぐみー!」
つぐみはいつもサイドのカールも前髪もバッチリ決まってる。
外見ばかり気になる年頃。
アイドルみたいな髪型になりたくて、顔が違うんだから無理なのに...
なんとか可愛く見られたくて、人からどう見られてるのか気になって仕方がない年頃だった。
男女共学の公立高校へ通う2年生、帰宅部、彼氏無し、好きな人はいる、告白されたこと無し、まぁごく平凡で普通の私。
つぐみは他校の男の子からも告白されたり、アイドルみたいな顔してて、一目置かれる子。
「ねぇ、また、見てるよ。つぐみのこと。」
反対側の校舎の窓から、こちらを見てる男子2人。
「え?あぁ、右側の人から告白されたの」
(またかぁ)
「ほんとに?返事したの?」
「うん、今は誰とも付き合う気ないからって言ったよ」
(贅沢すぎる!)
「そうなんだ、あんましカッコよくないしね」
モテない私がよく言うわ。
「ねぇ、ねぇ、今日どこ行く?」
私達は放課後いつも寄り道して帰るのだ。
喫茶店に行ったり、街の中をブラブラしたり。
たまにナンパもされる、つぐみだけ。
私はオマケ的な存在、それでもよかった。
「パフェ食べてこうか?」
「あ!いいね~」
そんな普通のなんの変化も無い毎日に終止符がきた。
つぐみじゃなくて、私に...ついにきた!
「アサミ~呼んでるよ」
昼休みのことだった。
廊下の方を見ると、同じ学年のたまに見かける背の小さなメガネ男子がこちらを見ていた。
「アサミ、あの子サッカー部の子だよね」
つぐみの男子チェックは凄い。
「ふぅん、あんまりタイプじゃないなぁ」
モテない私がよく言えたセリフ。
とりあえず行ってみることにした。
「あ、原田さん、呼び出してごめん。」
「え?うん」
(廊下を歩く子達が見てる...2人で話してるとこを見られるの嫌だなー)
「あのさ、付き合ってる人いなかったら、付き合ってほしいんだ」
(嘘!こんな軽く告白?)
「え?あの、私?つぐみじゃなくて?」
「うん、原田さん。2年になってから好きだったんだ」
(告白嬉しいんだけど、なんか違うんだよなぁ)
「明日返事してもいい?」
考えることにした。
「うん、じゃまた明日の昼休みに来るから」
私には好きな人がいた。
バスケ部の背の高い王子様的な存在の森田くん。
告白しても絶対断られるから、秘かに思ってるだけ。
「アサミ、森田くんのこと好きなのに、告白しないであの子と付き合うの?」
「だって、絶対ダメだもん。ならさ、好きって言ってくれる人と付き合った方がいいのかなーって思ってさ」
「ま、それもアリだよね」
つぐみの言うことは当たってる、彼女のやり方はいつもそうだから。
告白されるってもっとドキドキするもんだと思ってたけど、そうでもなかった。
下校時、下駄箱を出たところで、森田くんを見つけた。
そこへあの背の小さなサッカー部の子が、駆け寄る。
何か嬉しそうに森田くんに話してる。
(まさかっ!!!)
「アサミ、行こっ。ん?どうしたの?」
私はすかさず隠れた。
「あれ!あれ見て!」
「あ、あの子、森田くんに報告してるんじゃないの?」
絶対、あの二人の前を通りたくなかった。
サッカー部のメガネ男子が、森田くんにグーポーズしてた。
森田くんもグーポーズしてた....
その時思った。
(モー!やだ!明日絶対断る!)
「やっぱりさあ、ここのチョコパフェ最高だよね」
「う、うん」
頭の中はパフェではなく、森田くんのグーポーズのことでいっぱいだった。
(あれはどういう意味?やったね!ってこと?)
「アサミ、やっぱり森田くんに告った方がいいんじゃない?」
「つぐみも見たよね?森田くんのグーポーズ...」
「うん、あれはどう見てもやったじゃん!って感じだったよ」
「だよね...」
(もしかして森田くん、あの子と私のこと応援してる?)
いつもならペロリと完食する私が、パフェを残したのは言うまでもなかった。
早く明日の昼休みにならないかとソワソワしていた....
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