序章 戦火

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パク・チョムハ指令は、ここへきてまだ迷っていた。 いや、迷っているというのは、嘘になる。 やるべきことは既に決まっている。 心の整理がついていないだけだ。 後ろで、軍最高指揮官からの熱い視線を感じる。 キム・イルナム大統領からの命令は軍最高指揮官のほうへ既に受けている。 私がこの指令を出す立場にあるというだけのことだ。 これがどれだけ世界に対して大きな打撃を与えるかは、私が考えるべきことではない。 私はただ軍全体に対して、時間通りに指示に従うだけなのだ。 軍最高指揮者は副指揮官に何か指令を出し、副指揮官は部屋から出て行った。 パクは、再度腕時計を見た。 指定の時間はどんどんと近づいている。 私が迷うことではない。 これは、この国としての決定事項なのだ。 私の発声とともに、隣の島国に恐ろしい未来が起こることは考えてはいけないのだと自分に言い聞かせた。 このことが、我が国にとって良い判断だったかどうかは、私が考えることではない。 しかし、私が発するこの言葉が、世界の歴史を変わってしまうだろう。 私は逆らえない。 正確な時刻とともに、私は口を開いていう言葉はこれだけだ。 「宣戦布告!」
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