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取りあえず、パクは、ベッドに腰かけて待っている間にどうにかして逃げ出す方法を考え出さねばと感じた。
ジュリは、カルテを手にした診察医のほうに近寄り、一緒にカルテを見ながら、話を始めた。
その時、パクは自分自身がとんでもない立場に立たされているにも拘わらず、ジュリとこの医師との関係がどういうわけか、自分の立場以上に気にしている自分を発見した。
しかし、二人はパクの経過や症状について話をしているだけのはずだ。
パクは、その話す内容を聞くことに集中させようとしたが、近くのテレビの音に邪魔されて、うまく聞き取る事が出来なかった。
パクが見る限り、二人の関係は医者と看護婦の関係以上、何もないように思えた。
その時である。
この部屋のどこからか“チェ・テウ”という言葉が聞こえてきた。
“チェ・テウ”聞いたことがある名前だ。
パクは気がついた。
そうテレビだ。
精神科の専門書が並ぶ本棚の近くのテレビから流れてきた声だ。
その時、パクは、“チェ・テウ”の名前の意味を思い出した。
チェ・テウは、パクの側近中の側近の第一秘書だ。
パクはベッドから立ち上がり、テレビの方に歩み寄った。
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