第5章 定期健診

5/7
前へ
/112ページ
次へ
画面の中には、二人の男がトークを繰り広げていた。 一人は司会者なのだろう。初めて見る男だ。 もう一人のほうは、勿論パクのよく知っている男。 そう、パクの第一秘書のチェ・テウだ。 そして、テレビの中の司会者の男が、話を続けた。 「ところで、チェ大統領代行。次の質問に入りますが…。」 “なにぃ、チェ大統領代行。” パクは、知らず知らずのうちに大声を出していた。 この時、医者とジュリは初めて、パクの異常な状況に気がついた。 その時のパクの怒りは、既に頂点に達しているようだった。 真っ赤な顔になっており、医者の方に歩み寄ってきた。 「貴様達も、グルだったんだな。  そうか、すべては、チェが計画した事なのか?  あいつは、以前から私の地位を狙っていたということか?」 パクは、気が狂ったように(現在、既に気が狂っているのかも知れないが)、医者に飛びかかり、押さえつけ、罵りながら首を絞め始めた。ジュリも狂ったように 「やめて、パ、パクさん。チョン・デジュン先生は関係ないの。やめてったら。」 と叫びながら、チョン・デジュンと呼ばれた医師から、パクを引き離そうとした。 しかし、パクは、力を緩めようとせず、というより更に締めている力を加速させた。 四十代は越えているが、怒りのせいでか、常人以上の力で医者を押さえつけているようだ。
/112ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2人が本棚に入れています
本棚に追加