第1章 目覚め

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その日、”彼”は眠りから覚めた。 随分と長い間、眠っていた気がする。 頭がズキンズキンと重かった。 悪い夢でも見たのか、ちょっと頭痛もする。 瞳は重く、瞼を開くことすらも難しいほどだった。 既に外は明るくなっているようで、瞼を閉じている状態でも、明るい事を理解することは出来た。 ”彼”は重い瞼を開けようかと思ったが、とどまった。 何か分からないが、何かが瞼を開けるのをためらわせたのだ。 何かとてつもない、悪い予感がする。 この予感が何なのかは分からない。 自分自身の人生を大きく変えるものだという予感がした。 それは、これまでの人生経験で学び感じてきたことからだ。 しかし今の段階で、この状況をどう変えることも、出来ないのも事実だ。 ”彼”は、目を開ける前に、まわりの状況を 推理することにした。 まず、眠っているこのベッドが、肌触りからして自分のいつも使っているものではなさそうだ。 それに遠くで鳥の鳴き声みたいなものが聞こえるということは、ここが自分の自宅でも自分の仕事場でもないということなのだろう。
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