第1章 目覚め

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”彼”は恐る恐る、目を見開いてみることにした。 天井を見上げると蛍光灯の光は消されていた。 周りを見回したが、カーテンが、閉められている。 目を開ける前から思っていたが、改めて薬物の臭いが、ツンとくるのを感じた。  ”はて、何故、私はこんなところにいるのだろう。” そして、”彼”は、自分自身に対して、大事な何かが欠落しているのをその時初めて、感じた。  ”私は、一体誰だ。今まで何をしていたんだろう。” ”彼”は、また、目を閉じ、深く考え込んでみた。 ゆっくり、息を整え、冷静さを取り戻すための時間を持ってみた。 暫く黙想をして心が落ち着いてくると、徐々に、自分自身のことを思い出してきた。 しかし、こんな根本的なこと考えるなんて、生まれて初めてだ。
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