第1章 目覚め

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 「おーい、早く誰か来てくれ。」  「はい、はい、分かりました。」 若い女の声だ。 それも知らない声だ。 そして訛りというかちょっと言葉に違和感を感じた。 カギを開ける音がしたとともに、その声の主だと思われる女性が顔を出した。 メガネを掛けているが、そのメガネの下からのぞく目は、美しいと思った。 均整の取れた体系といい、長くなびく髪の毛といい、とても綺麗な人だと思った。 しかし、全く知らない女性だ。  「はい、はい、ごめんなさい。 ぺ、いえ、パク大統領。起きましたか。 ご飯は、もう、出来ていますよ。」 パク、たぶん、この名前で間違いないはずだが、彼は、今思い出した記憶を疑い始めていた。 何故かというと、この目の前の女性は、白衣を着ていたからだった。 どうやら、ここは、病院のようだ。
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