恋するケダモノ

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「先輩は怖くないですよ。最初から、とっても優しかったです」 「君こそ、腰は低いし誰よりも真摯だし。人間族はウソつきで態度の横柄な奴等ばっかりだと思っていたから、目から鱗の気分だった。見直したよ」 「いえいえ、先輩が」 「いやいや、君の方が――」  そこで視線が合うと、二人一緒になって笑った。 (ん?) 「どうしました、先輩?」 「頭に――」  糸くずのようなゴミが付いていたので、スッと手を伸ばしたところ――おれのフサフサの腕毛が、相手の耳をかすめた。  すると、 「きゃあ!」  と、なんとも可愛い声が上がった。  ドクンと鼓動が跳ねるのを感じ、ごくりと喉が鳴る。 「あ……スマン。お、驚いた?」 「ち、違うんです。僕、耳が物凄く敏感で……」  真っ赤になって俯く仕草も、めちゃくちゃ可愛い。  ヤバイ。  これは、間違いなく恋だ。  さて、何と言って声を掛けようかと思っていたところ、相手の方が先に口火を切った。 「先輩は――人間族の男から好きですって言われたら、どう思いますか?」 「なに?」 「あ、その……い、嫌だったら……」  ああ、なんて可愛いオスなんだろう!  オレは迷わず、本心を告げた。 「種族なんかどうでもいいが、オレは君の事が最初から大好きだ。このまま巣に連れ帰って(つがい)にしたいと思っている。その、君が嫌でなければ、だが」  百獣の王と称えられるライオンは、その堂々とした見た目と違う、小さい声で告白した。  果たして答えは――――もちろん、YESだった。             🦁👨END💖
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