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「勇気くん。希のことをそこまで考えていてくれたんだね。本当にありがとう。私は希の父親として誇らしく思うよ。
希のことをふわっとしか説明しなくてごめんね。正直言って希に会わせるのが怖かったんだ。ここまで詳細に話してでも尚、希のことを信じてくれるのかって。
未来のことは分かってもね、人の気持ちまでは詳細に理解できない事がある。テクノロジーの進化みたいにね、人間の心ってのも日々変わっていくからその時その人が考えていることや想いってのはその人自身の本当の”声”を聞かないと分からないんだ。
だから試したみたいになっちゃたけど、勇気くんの本心が聞けて本当に良かった。その言葉が聞きたくて、勇気くんに会いにきたんだ」
信二が一気に話終わった後、勇気はポカンとしていた。
それでもまだ疑問がたくさん残っているから、嬉しい反面心は少しだけもやっとしていた。
「でもなんで僕を選んで来てくれたんですか?僕はあの時、自分の足が勝手に動きました。と言うことは、意図的に希ちゃんのところに僕を連れて行ったという事ですよね?」
勇気の頭の中は疑問だらけだった。質問が溢れ出て止まらない。
「とても大きな事に巻き込んでしまってすまなかった。そうだよ。意図的に二人を会わせたのは間違いない。
全部私の仕業だ。
勇気くんが高校生になった頃にはテクノロジーに興味を持ち、プログラムを専攻するって分かってたから。
それに真面目な君には希のことをちゃんと理解してくれるって信じていた。これには自分の中での確信があったんだ。
そしてこれからの人生には君が必要なんだって思った。見た目は人間なのに、一部にチップが埋め込まれているなんて誰も信じる筈がないだろ?小さな身体の希には、とても耐えられない事だったから。
でも希は今も必死に生きている。そして勇気くんもまたある程度大きくなったから話ができると思った」
信二はこれまでの事を包み隠さず、そのすべてを語った。その声は自信があり、ハキハキと聞こえてくる。
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