エピローグ

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〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 拝啓 勇気くん あれから4年経つんだね。月日が過ぎるのはとても早く感じるね。 実は希の誕生日は閏年の閏日だったんだ。そして瀕死の状態から助かったのも閏年の閏日だった。 さらには勇気くんが希にコンタクトを取ろうとしてくれたのも閏日だよね。だからこの手紙も敢えて閏日を選んだんだ。私にとっての閏日っていうのは何か特別な日な気がしてならない。 勇気くんに伝えて置かないといけない事があり、筆を取りました。ちょっと長くなるけど、これは未来への長期的なメッセージとして受け取ってほしい。 テクノロジーの進歩がどうだとか、アナログは時代遅れだとかそういうのはどうでもいい。 ただテクノロジーが進歩していく時代だから、誰にも止めようがない。シンギュラリティは確実に、誰も見てないところで進化し続ける。 黙っていてもね。 アンドロイドに負けるもんかと言っても勝てっこない。共存していくしかない。 だったら協力し合えば良いじゃないか。いまやスマホがなければ生活が出来ないように、私達はそういう宿命にある。 勝ち負けじゃなく、どうしたら共存していけるか?を考えた方が懸命じゃないか?君たちにはそういう未来を見てほしい。作って欲しい。期待してるよ。 便利に利用するということは?怖いでのはなく、最大限に生かすということ。人間の手助けと思っていればいい。 いいように利用すればいいんだ。勝ち負けにこだわるのは、現在の経済と同じ。世界経済も結局勝ち負け。もういいじゃないか世界経済は充分立派になった。勝ち負けにこだわり、生きていくのに必死なのは脳が麻痺してるからじゃない? 私たちは原始人の考えから抜けられない。恐竜がいた時代は生きるか死ぬかの恐怖で頭がいっぱいだった。今は恐竜なんていないのに。 ところで像が鎖で足をつながれている話は知ってる?もちろん例え話なんだけれどね。これはよく経済系のセミナーにも出てくる話なんだ。 サーカスに属していた像は逃げ出さないように、子供の頃から足が鎖で繋がれていた。それが大人になるまでずっとだ。 それから大人になった像はいつの日か鎖を外される。鎖を外されたら、当然逃げてしまうと思うだろう?しかし子供の頃からずっと足が鎖に繋がれていたから、感覚が麻痺してしまったのか逃げ出す事はなかったんだ。 この話を聞いたらいかに私たちの脳は洗脳されやすいのかが、よ〜く理解できたんだ。 この例え話のように、人間も原始時代の暮らしからずっと麻痺してしまっているんだ。現代には恐竜がいないから、恐怖心はないよね?分かるかなぁ。生きることに不安を感じることは何ひとつない。だから大いに楽しんで生きよう! そして希のことをこれからもよろしくね! 信二より。」 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
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