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俺の
「しょうがなかったの!触ってこない代わりにやたら服とか贈ってくるから、流石にそれは受け取らないとでしょ!」
「違う人間が贈ったものに包まれてる恋人を見るのはなかなか胸が痛むんだぜ?」
「う゛」
するりと人差し指でチョーカーをなぞり子犬のように眉を下げるルドゥロに、リヴァーダは思わず胸を抑える。
「あと、君に服を贈るのと君にチョーカーを贈るのは重みが全然違う」
「うっ…抵抗はしたんだぜ⁉ちゃんと自分でつけたから項はさらしてないし…」
「あたりまえだろう!?」
それまで同情を引くように控えめな言葉と態度だったルドゥロが唐突にカッと目を見開いて叫ぶ。目が血走ってなかなかに凶悪な人相である。
数分前にリヴァーダに「大声を出すと人が来る」と注意したのは忘れ去ったようだ。
「うわっびっくりした!急にブチぎれるなよ!」
「君があんまりなこと言うから想像してしまった!」
「それはごめん!」
「嫉妬でどうにかなりそうなんだが」
「俺も想像したら気持ち悪くて無理…」
「君は想像してくれるなよ、頼むから」
ルドゥロは懇願するように言って、リヴァーダの片目の傷を固い親指の腹でそっと撫でた。
項をさらすというのは、Ωにとって最大に近い弱点をさらすということ。
かなりの信頼と愛情を相手に傾けているということを意味し、成人済みのΩは番以外に項を見せることなどまずない。親にすら見せないのも普通だ。
「それに俺は特に君の匂いに敏感なようだからな…君についた他の男の匂いが不快で不快で仕方ない」
「まあ、1ヶ月は同じ場所で生活してたからな…」
「ッハアアアアアアアア……血管が切れそうだ」
「………俺も嫌なんだぜ、ダーリン?他の野郎の匂いが付いてるなんてさ」
首に巻き付いたままだったルドゥロの手をほどいてリヴァーダがするりとその懐に入りこむ。恋人の首にその長い腕を巻きつけ、マーキングするかのように額をこすりつける。
「隅から隅までお前じゃないと嫌だ…。もうずぅっと空っぽなんだよ」
「リヴァーダ……さっきまでとは違う感じで死んでしまいそうだ」
「んふ。俺の可愛い子猫ちゃん、雰囲気ぶち壊しだがそこが好きだぜ。全部が終わったら思う存分、な?」
「ああ、もちろんだ俺の美しい天使殿」
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