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 僕の言葉はヒートアップする。声が段々と荒くなっているのが、言葉を紡いでいて分かった。 「僕は誰かを殺されたりはしたことが無い。青木さんみたいに親友を、まぁ僕にはそもそも親友すらいないけど、亡くしたことがない。けれど、僕がもし身近な人間を殺されたらきっとそう思うと思う。許せないと思う。人間関係を築くのは苦手だけど、僕はそれでも感情が無いわけじゃない。喜びも悲しみも怒りもある」  僕はそこで一呼吸置くと、全身の力を抜く。これだけの台詞でかなり体が強張ってしまったらしい。力を抜いた瞬間、どっと疲れが溢れだした。 「僕は、この世界が嫌いだ。それはこれからも、きっと変わらない。けれど、僕は別に死にたいとは思わない。自分を変える何かがあれば、もしかしたら死にたいと思うようになるかもしれない。でも今のところ、僕にはそういった感情は無い。僕はもう、この世界で生きることを」 「……諦めてる?」  僕は彼女を見ると、こくりと頷く。それから駅にやって来た鳥が飛ぶ様子を眺めた。 「僕は諦めてる。この世界で生きることにだ。けれどそれは、決して死にたいという意味ではない。僕はこの世界で生まれた以上、ここで生きることは仕方ないと思ってる。だから諦めてるんだ。分かりやすく言えば、」  僕ははっきりとした口調で言うと、彼女が小さく「そっか」と言う。大きなメロディーと共に、電車がやって来るアナウンスが聞こえると遠くで小さな光が二つ輝いているのを捉える。ゆっくりと僕たちの目の前にやって来る電車が、扉がある場所で丁度止まって開いた。  僕は電車に乗り込むと、開いた座席に座る。彼女は僕の目の前に座ると、こちらを見て静かに微笑んだ。
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