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○月×日
今日授業をサボって屋上に行ってみたら、日下部君を見つけた。チャンスだと思って、日下部君にエイプリルフール病なのを打ち明けた。最初は信じてもらえなかったけど、傷がすぐに癒えるのを見せたら信じてもらえた。すごく驚いてた。日下部君はエイプリルフール病じゃないみたい。でも色々溜めてたこと外に吐き出せたからスッキリした。日下部君、思ってたより良い人で、話しやすい。
○月×日
日下部君を初めて壱君って呼んだ。壱、ってカッコいい名前だよね。壱君にピッタリ。壱君は私と同じでこの世界が嫌いらしい。同じ意見を持っている人がいて嬉しかった。でも壱君が生きたいとも死にたいとも思ってないって言われて、ちょっと悲しかった。死にたがりの自分が何様だよって感じだけど(笑) 壱君には生きてほしい。
○月×日
壱君と遊園地に行く約束をした。まだまだ先だけど、でも今から凄い楽しみ。死にたいじゃなくて、生きたいって思考を変えようって言われた時ビックリしたけど、でもちょっと心が揺れた。死にたいのに、生きたいって最近思うようになった。壱君のお陰かな? 私ってば単純だな。でも良いことなのかもしれない。麗子のためにも、長生きして天国に行ったらいっぱい現世で何があったかを話せるしね。
僕は口元に手を当てると、彼女の両親を見る。二人とも泣きそうな表情を浮かべながら、じっとこちらを見守っていた。僕はまた彼女の日記に視線を戻すと、ページを捲る。
それから、彼女が日記で「死にたい」と書くことは無かった。
次のページを捲ると、そこには一日分の日記が書かれていた。その日以降、日記は止まっていてこれが彼女が死ぬ前日のことであることを悟る。僕は日記を読み進める。
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