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○月×日
明日は壱君との遊園地だ~! わーい! ついに壱君と念願の遊園地。ジェットコースター乗って、ティーカップ乗って、観覧車にも乗るんだ。ああ、楽しみだなぁ。私、本当に壱君と出会えて良かった。神様はもしかして私を死ねなくしたのは、私を壱君と出会わせるためなのかもしれない。エイプリルフール病を患っている人は、全員出会うべき人に出会うために生かされているのかもしれないな。って、ハッピーが過ぎるか。でもそうだと良いな。
僕は日記を閉じると、彼女の母親に日記を返す。母親は無言でそれを受け取って、大事そうに腕で包み込んだ。
「壱君のお陰で、あの子は生きたいって思えるようになったの。本当にありがとう」
その言葉を聞いて、僕の胸は痛んだ。
「……でも逆を言ったら僕が、芽郁さんと出会わなければ芽郁さんは交通事故に遭っても死なずに済んだかもしれないんですよ? 僕は、彼女を殺したのと等しいことをしました」
その言葉を聞いて両親はかぶりを振ると、彼女の母親は僕の両肩を掴む。
「ううん。芽郁はね、壱君と出会って変わった。明るくなったし、よく笑うようになった。死にたいとも言わなくなったの。全部壱君のお陰。だから、壱君。そう思わないで。私たちも、芽郁も、壱君に感謝しかないのよ」
「……僕は芽郁さんにただ生きてほしかったから、自分がしたいことをしたまでです。感謝されることなんて、何もしていません。僕は———」
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