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 さも当然という口調で言うと、僕は思わず彼女をもう一度見てしまう。また視線がぶつかり、反らしそうになったところで彼女が僕の隣に座った。肩より少し長い髪が僕の肩に触れそうになる。 「でも僕は、青木さんと仲良くないじゃないか」 「そうだね、教室でも話さないしね」 「それなのに、良いのか? そんな奴に、そんな深刻なこと話して」  またちらっと彼女を見る。 「良いんじゃない?」  空を見上げながら彼女が言った。風で靡いた髪は僕の頬に優しく触れ、目に入りそうになる。 「うわっ、ごめんね! 目に入った?」  彼女は僕から距離を取り、心配そうに顔を覗く。 「大丈夫、入りそうになったけど入ってない」 「本当にごめんね。もう、風め」  彼女はムッと口を尖らせると、悪戯をするように吹く風を見る。僕は頬を触ると、体温が上がっているのに気づき冷たい手のひらで冷やした。普段女子と会話をしない僕にとって、これはかなりの出来事なのだ。そしてその相手があの青木芽郁となると、体の体温が上がるのも当然だった。  成績優秀、運動神経抜群。顔、ルックス、性格全て上々。まるで少女漫画から切り取った主人公のようなそんな彼女は、男子からも女子からも人気が高い。教師からも人気が高いとも聞いたことがある。それもそのはずだ。非の打ち所がない彼女を恨む人なんて、どこにもいない。 「なぁ、どうして死にたいと思ったんだ?」  僕は空を仰ぎながら言う。彼女がこちらを見たのに気づいたが、彼女に顔を向けずただ空を見上げた。 「私は、だから」  そこでやっと彼女を見ると、彼女は自分の足先を眺めていて、浮かない表情を浮かべていた。
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