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「この世界が嫌い。この世界が嫌い。そりゃぁ、人間生きてれば必ず死ぬよ? エイプリルフール病にかかって無ければだけど。でもね、寿命で死ぬ人間とがこの世界にはいる。私が言っているのは殺される人間の方。殺人、轢き逃げ、自殺、どれも全部誰かに殺されてる。殺人と轢き逃げはそのまんまだけど、自殺は自殺に追い込む人がいる。」  彼女は毒を吐くような勢いで続ける。 「死ななくていい人間が殺されて、死ぬべき人間が最期まで生きる。意味が分からない。神様は本当に酷いよ。私はそんな世界で生きるのが辛い。だから死にたい。なのに死ねない。神様は私に死ねない呪いを掛けたの。私が死ななくていい人間かは分からない。でも、今さら罪滅ぼしのつもり? ずっと死ななくていい人間が殺されてきたのを黙って見てたから。だったら、そんな罪滅ぼしいらない。死ななくていい人間にじゃなくて、罪を向けるなら死ぬべき人間にだよ」  彼女は言い終えると、一気に言ったせいか頬が真っ赤になっている。目には涙が溜まっていて、風が吹けば落ちてしまいそうだ。彼女は咳き込むと、その振動で瞳から涙が零れ落ちる。それを拭って顔を上げると、空を仰いだ。 「私、中学の時に親友を自殺で亡くしたの。良い子だったんだけどね、イジメられて死んだ。私はクラスが違ってそのこと知らなくて。親友って言ってたのに、本当にバカだよね。何で気づいてあげられなかったんだろうって、すごく後悔した……」  鼻を啜る音が聞こえ、僕は彼女から視線を反らすと空を見上げる。真っ青な空に小さな雲が何個も何個も、風に吹かれるままたなびいていた。
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